小説

第一章 出会い 三

「夢幻!またこんなところでサボって!」  頭上から降り注ぐ、鈴を鳴らしたような愛らしい声。  その声に少年は、閉じていた瞳を薄く開いた。  視界に飛び込んできたのは、うたた寝をしていた少年にとっては、まぶしすぎる陽の光。... 続きを読む

第一章 出会い 二

「ここまで来れば、大丈夫か」  森を抜け、街道まで出たところで、ようやく夢幻は足を止めた。  振り返り、森の入り口を見る。  来た時と同じく、広がるうっそうとした木々。そこに、動くものの姿は見当たらない。  ふう。  安... 続きを読む

第一章 出会い 一

 森の中に、一人の男が立っていた。  頭の高い位置でひとつにまとめられた、長い銀色の髪。油断なく辺りを見すえる紫水晶の瞳。黒服の上に、紺色のフード付きローブを、そでを通さずにマントのように羽織った長身。  そして、左手に... 続きを読む

プロローグ

 夕刻の酒場で、二人の男が向かい合い、話をしていた。  片方は、年配の商人風の男。もう片方は、若い旅人風の男である。  二人の口調は終始穏やかで。居合わせた客同士が世間話をしているように見えなくもない。しかし、少し勘の良... 続きを読む