1.公務員冒険者と盗賊団

夢幻1 第一章 出会い 一

 森の中に、一人の男が立っていた。 頭の高い位置でひとつにまとめられた、長い銀色の髪。油断なく辺りを見すえる紫水晶の瞳。黒服の上に、紺色のフード付きローブを、そでを通さずにマントのように羽織った長身。 そして、左手に抜き身の長剣をぶら下げて…

夢幻1 プロローグ

 夕刻の酒場で、二人の男が向かい合い、話をしていた。 片方は、年配の商人風の男。もう片方は、若い旅人風の男である。 二人の口調は終始穏やかで。居合わせた客同士が世間話をしているように見えなくもない。しかし、少し勘の良い人間が見れば、その光景…