きゆるんねっと+

帰るべき場所

終わってしまった。何もかも。
愛していた家族は皆、偽りだった。
死線を共にしたクグツたちは皆、在るべき世界へ帰った。

自分は、どこに帰ればええのやろう。

何もかもを失った気持ちを映すように、今まで歩いてきた連接世界は深く暗い闇に閉ざされていた。

このままこの闇に身を任せれば、無に還れるやろうか。

一歩、前へと足を進める。
その時。

「私の目を見ろ!」

そんな言葉と共に強く腕を引かれて、御堂綱紀は我に返った。我に返ってしまった。
目の前にあったのは焦ったような、余裕のない表情を浮かべた端正な顔。
いつも楽しそうにしている闇の王シウグナスが、こんな必死な表情をするのは珍しいことである。
実際、綱紀も初めて見た訳だが、今の綱紀にはそんな余裕なんてなくて。

「なんで…引き止めたんや…」

視線を外し、呟く。
闇の王でありながら、何故この人は自分が闇に堕ちることを許してくれないのか。

「もう、自分には行く場所なんてな…」

文句は、最後まで言わせてもらえなかった。
先程よりも強い力で腕を引かれ、綱紀の身体はシウグナスに抱きとめられていた。

「言ったはずだ。お前の闇は私が引き受けると」

そのまま、強く抱き締められる。
温かく包み込まれる感覚に、何かがせきを切ったようにあふれてきて。
綱紀は自分を抑えきれず、すがりついて嗚咽を上げた。

どのくらい、そうしていたか。

だんだん気恥ずかしくなってきて、綱紀はシウグナスの腕を振りほどいた。

「なんや…すんません」
「我が腕の中で泣いてすっきりしたか?」

シウグナスは気にした様子もなく、笑みを浮かべている。茶化すような物言いだが、それこそ綱紀の知っている闇の王だ。

「そうやな」

言われてみれば確かに気持ちはすっきりしている。今はもう、自暴自棄になろうなんて気は起こっていない。
この先、どうしようか。
そんなことを思う余裕すらある。
だが。

「なら、帰ろうか」

思いも寄らない言葉に、綱紀は顔を上げる。
シウグナスが真っ直ぐに手を差し出していた。
目が合ったところで、再度言葉がかけられる。

「帰ろう。私の城へ」

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