夢幻シリーズ外伝

都通りに風が吹く

 大陸警備機構に所属する冒険者である柊夢幻は、旅の合間に本部があるセントラルシティに帰ってきていた。
 苦手な書類作業と口うるさい上司にうんざりしていた夢幻の元に現れたのは、重傷を負った一人の青年。
 彼が告げたのは、夢幻の親友ロキシスの危機だった。

 本編中盤、夢幻とウリルの信頼度がそこそこ高くなった時期を想定したお話です。

  •  窓から差し込む朝日に、男は目を開いた。 視界に飛び込んでくる景色は、所々がすすけた木の天井。無造作に荷物が置かれた文机。カーテンのかかっていない窓。 閉業して久しく使われていなかった宿屋を修繕したらしいこの寮室は狭くて簡素であり、普通に生…

  •  事務部は、一階中央。つまり、吹き抜けの丁度中央部分から奥側に位置している。 吹き抜け沿いの階段を下りる夢幻は、その中央部分に当たる総合案内受付に見知った姿を発見した。 バンダナでまとめられた亜麻色の髪。革のベストに膝丈のスカート。すらりと…

  •  エアの先輩に当たる受付嬢に一方的に後のことを任せて、三人は大陸警備機構本部を出た。 追跡の魔法を使用するウリルの先導で街を走り、たどり着いた場所は閑静な住宅街の一角。 地下水路はセントラルシティの地下隅々まで張り巡らされており、入口も街の…

  •  翌朝。 夢幻の姿は大陸警備機構本部に併設された病院にあった。隣には制服姿のエアが付き従っている。「何か、ダシに使ったみたいで悪いな」 夢幻は病院の廊下を歩きながら呟くように言った。 あの後、エアの先導によってやってきた救急隊によってロキシ…